2015年5月9日:営業戦略を作ろう

なぜ、営業戦略を作る必要があるのでしょうか。
その理由は、むやみに顧客に対して営業をかけるよりも、先ず戦略を作ってから行動した方が、結局、効率が良いためです。

営業は、特に成績が上がらなくなると、手当たり次第、必死に顧客訪問をしようとしてしまいがちです。また、突発的な顧客からの要望や、クレームなどへの対応に追われて、目先のことに目を奪われてしまいます。こうなると闇夜のカラスを鉄砲で撃つ状態になってしまいます。その結果、貴重な時間を、見込みのない顧客訪問に使ったり、少額の案件ばかりを追いかけたり、あるいは、勝てる見込みのない提案をしたりしてしまい、売上が伸びなくなってしまいます。

戦略を作るのが手間がかかりますが、急がば回れで、結局営業効率が良くなります。
そして、迷ったときには、今からしようとしていることを、戦略に照らし合わせて、戦略との整合性がとれているかをチェックすれば、脇道にそれることもありません。

ところで、日本企業では、作った計画や目標をやたらと「〇〇戦略」と呼びたがる傾向がありますが、メリハリのないものは、戦略とは呼びません。例えば、「重要な既存顧客は深耕し、今後の成長のために新規顧客も開拓する」と言うのは、全部やりますと言っているだけで、何も言っていないのと同じです。

営業戦略とは、限られた営業資源を有効に活用するために、何を捨て、何に集中するかが明確になっている必要があります。ここで、営業資源というのは、営業組織の場合は営業パーソンの数、個人の場合は、営業に使える時間と思ってください。また、営業戦略は明確な差別化要因や特徴を持っている必要があります。さもないと、具体策に落とせません。

多くの人は、戦略は経営企画やマーケティングが作るもので、営業には関係ないと思っているようです。しかし、IBMでは、営業パーソンが営業戦略を作るのは、当たり前で、そのためのプロセスがグローバルに標準化されていました。年初に、自組織の戦略をベースに、各人が会社の戦略を考慮に入れながら作成します。作成したものは、営業管理者のレビューを経て承認され、それに基づいて、年間の営業活動を行います。


皆様も是非、営業戦略を立ててください。作り方がよくわからない? そんな場合は、お気軽にコンタクトをお願いします。

2015年4月15日:基本的なコミュニケーションスキルを見直そう

インターネット上での購買や、Webや電話、Faxなどを駆使したインサイドセールスなどが、ますます広く使われるようになってきています。こうした中、訪問営業の付加価値を高める営業法が強く求められるようになってきています。


デジタル化、機械化が進めば進むほど、おもてなしの心の大切さが見直されるようになってきていますが、それと相通じるものがあります。


『課題解決営業法』というのは聞こえがよいアプローチですが、顧客の課題を聞くことは簡単ではありません。ましてや、顧客の気付かない課題を発見するにあたっては、特にそうです。社外の始めて会った人に、すぐに悩みや不安を話したがる人はあまりないでしょう。


実際、専門知識やテクニックは豊富に持っていても、顧客と信頼関係を築けないため、課題の発見や確認が充分にできない営業パーソンが多くいます。


コミュニケーションスキルがあるのは当たり前だと思う人も、しっかり自分の力を確認することをお勧めします。簡単そうに思えることと、実際にできることは全く別の話で、コミュニケーションスキルを磨くことは、殆どの人にとって、永遠のテーマだと思います。

基本的コミュニケーションスキルは、基本的態度と関係構築力、さらに質問力の3つの要素に分解できます。基本的態度には、非言語表現(表情、視線、口調、声調、体勢、・距離)と言語表現(促し、伝え返し、要約などの傾聴)があります。

顧客との初めての面談の場合、営業に直ぐ入りたい、はやる気持ちは抑えて、先ずは顧客と良い関係を築くことができるよう、こういった基本的なコミュニケーションスキルにもう一度フォーカスする必要があるのではないでしょうか。

2015年3月14日:営業ターゲット顧客の選び方

営業戦略策定の支援をよく依頼されますが、その中で、必ずしなければいけないのが、ターゲット顧客を選定することです。


事業戦略策定やマーケティングの教科書には、デモグラフィクスやサイコグラフィクスに基づいた市場の選定方法が書かれています。

デモグラフィクスとは、簡単に言うと人口統計のことです。性別、年齢、婚姻の有無、家族数、収入、職業等により、消費者を理解して、市場を把握するための検討軸です。


消費者向け(B to C)営業の場合は使えると思いますが、法人向け(B to B)営業の場合、あまり参考になりません。でも、戦略策定の教科書に書いてあるからと、形だけ分析して、戦略の資料の厚みを増やすことだけに満足している企業も見受けられます。

サイコグラフィクスの方は、名前の通り、ライフスタイルや嗜好、価値観といった心理的な要因を軸とした分析。マーケッターの中には、市場のセグメンテーションというと、サイコグラフィクス分析を重視する人も多いように思います。

確かに、広告やキャンペーンで、視聴者の感情に働きかけるのには有効だと思います。与えたいイメージにあったタレントを起用して、狙った顧客に与えたいイメージを届けるというのはよくやられる手法です。

調査会社に結構なお金を払って、大規模なセグメンテーション調査をしても、この分析方法は営業にとっては役に立ちません。例えば、「人とは違うものを所有したいが、あんまり目立つのは嫌な男性」がターゲットと言われても、どこに営業をかければよいのか分かりません。


営業パーソンに理解でき、なおかつ、営業活動に活かせるセグメンテーション法が、営業にとっては求められているのです。


営業にとっては、要は、

  • 自社の戦略にマッチしている顧客層
  • 商品に関心を示す可能性が高い顧客層
  • 顧客の数および利益の面で十分期待が持てる顧客層
  • 営業パーソンがアプローチ可能な顧客層

が突き止められればよいのです。


ターゲットの絞り方は一通りでなく、あらゆるセグメンテーションの仕方をリストアップし、自社に合ったものを試行錯誤で選んでいく必要があります。また、一旦決定したセグメントも、社内外の環境の変化に合わせて、不断に見直しが必要です。


2015年2月13日:バリュープロポジション

最近、感じるのですが、「バリュープロポジション (Value Proposition)」という言葉が、普通にビジネスマンが使う言葉になってきたということです。

これまでは、マーケティングを勉強した人やMBAの資格を持っている人などが、仲間内や経営幹部との会話でちょっと気取って使っている言葉だったように思います。

要は、顧客に提供する価値のことです(マーケティング的にはもう少し、込み入った定義がありますが、ここでは割愛します)。


何も英語で言う必要はないと思いますが、まあ、それは良いとして、提供価値を増すための具体的な取り組みについては、はてなマーク(?)がつくことが多いと思います。

例えば、効果を数字で謳っても、それを具体的に裏付けるデータや根拠がなく、怪しげな心理操作にしか過ぎないことも。いわば、まやかしのバリューです。インターネット・ショッピングのサイトに使われているキャッチコピーで、このような胡散臭いものは、ものすごく多いですね。「分速、5万円稼げます!」といったたぐいのもは、横行していますよね。
企業としての良心が問われますし、消費者も賢いので、そのような商品は買わないという逆効果になります。

他に多いのは、顧客ニーズにきちんと基づいて価値を語っていないことです。
例えば、売り手が勝手に長所と思い込んでいる事柄全てを列挙しているケースです。これは、顧客のニーズや競合他社に関する知識が殆どないためこのような暴挙?に出るのだと想像します。

当然のことながら、このアプローチは、顧客から全く評価されないか、下手をすると怒らせてしまうという怖れがあります。

あるいは、他社より優れていると思うところを列挙する方法をとるところも多いですね。このアプローチの問題点は、顧客には様々なオプションがあり、競合と思うところに対する優位性を訴求しても、それで安心という訳にはいかないことです。

また、優位性がある部分が、顧客にとって意味のあるところでなけば、顧客の心に響きませんね。

やはり、なんといっても、顧客のニーズをしっかり調べ、そこに対するソリューションの価値を訴求するのが一番の王道ということですね。


2015年1月10日:大口案件の獲得にあたって注意すべき点

大きな案件には、お客様の会社の中の多くの人がキーマンとして関係してきます。
例えば、IT活用による業務変革案件の場合であれば、社長や変革の対象になる事業部長、CIOやIT部長、財務担当役員等が関係してきます。

例え、全ての関係者の名前が分かったとしても、その人間関係が実際のところどうなのかは、役職名だけでは定かでないことが多いです。

より深く理解するためには、次の質問に対する答えを探し求める必要があります。
・購買のキーパーソンは誰か
・意思決定に影響力を誰がどの位持っているのか
・それぞれのニーズ、そしてそれに基づく意思決定の評価項目は何か
・それぞれの人から、我々は、売り手としてどのように評価されているのか

このような情報収集には手間がかかりますが、売上の大分は、ごく一部の取引規模の大きい顧客か
ら得られていることが通例です。そういった企業では、自分たちのニーズやビジネス環境をよく理解している売り手を求めています。
ですから、そうした顧客については、営業力を駆使して、顧客内の力学についての洞察を深めなければ、競合他社に勝てません。

営業担当者に同行して商談に立ち会ったことのことですが、この担当者は今後の営業に活用できそうな購買心理を示す情報があったにも関わらず、ほんの少ししかその信号をキャッチできていないことが多々あり、本当にもったいないことでした。
例えば、IT部門の人が「ある業務部門ではIT部門の承認なしに、勝手にITサービスをベンダーから購入して困っている」とこぼしていましたが、この営業担当者は、自分の提案を前に進めることにだけ気をとられ、このような顧客のコメントを聞き流していました。また、営業部門に伝達することもしませんでした。

やはり営業パーソンの姿勢としては、顧客のビジネスに興味を持ち、上記の4つに関する情報に常にアンテナを張っている必要があります。こういった情報というのは、商品を売らんかなというスタンスで質問するよりも、顧客の言葉を傾聴することで得られることが多いですね。

このように、提案する内容の経済的価値を如何に訴えるかだけに注力するのではなく、顧客の中の集団力学を理解することが、大型案件をゲットするのに重要になることを忘れてはいけません。

2014年12月12日:人脈が営業の成否を決める

営業マンだったら誰でも人脈が重要と言うでしょう。
人脈が豊富であれば、見込み客を見つけ易く、営業に有益な情報も沢山仕入れられます。

ただ、単純に人脈というものを一面的にみるのではなく、人脈にも様々なものがあるということを理解すると、人脈を更に効果的に利用できるようになります。

例えば、見込み客を集めるための人脈と、見込み客に課題を感じてもらい、購買意欲を喚起するための人脈は違うし、顧客の購買意思決定に影響を与える人脈も異なります。また、ソリューション提案を作るには営業マンだけではできず、製品開発者など、そのために必要な社内人脈を知っていなければなりません。
自分の人脈をうまく管理する方法をしっかり理解できている営業マンは少ないように思います。

営業マンには様々なスキルや知識が必要になります。ラポートの形成スキル、顧客の課題を把握するスキル、製品知識などです。
ただ、見落とされがちなのが、人脈力というスキルです。

人脈はタダでは維持できません。時々、話したり合ったりしてコミュニケーションをする時間をとり、時には、互いに手を貸すなどの時間と労力の投資が必要です。
誰しも忙しいので、これは簡単ではないが、極めて有意義です。
また、ソーシャル・ネットワーキング・サービスもこれから活用すべき手段ですね。


2014年11月9日:成果管理 vs. 行動管理

先日、あるIT系企業の専務さんから、「成果管理と行動管理についてどう思います?」と尋ねられました。

営業パーソン達をどう管理するというのは、難しく、デリケートな問題です。
管理の方法は、与えるインセンティブを規定しますし、会社が何で評価するかというクリアーなメッセージを発信します。
また、営業パーソンがどのような役割をどのように行動して果たすかということにも影響を与えます。

成果管理では、とにかく売上や利益をあげればよく、手段は問われません。営業パーソンからみれば、会社というのは報酬を払ってくれる存在にしかすぎず、とにかく顧客第一に行動すればよいわけです。ここでは、競争の文化が中心で、もらってボーナスをみせびらかそうが、大きな契約をゲットして、上司より高い給料を獲得しても、誰も文句を言う人はいません。

行動管理では、どうでしょう。こちらは、成果をあげる手段が重視されます。営業パーソンの活動内容や発揮された能力、努力などが評価されます。数値が難しいので、マネージャーの主観的な評価が多くなり、報酬の大部分は固定給で支払われことが多いですね。

多くの企業では、両極端とも言うべき、成果管理と行動管理の中間のどこかで、バランスをとった管理をしようとしています。では、どの地点が最適なのでしょうか。

決めるためには、沢山の要素を考慮しなければなりません。
例えば、経験と実績を持ったベテランが多い営業部門では、成果主義が望ましい傾向にあり、経験が浅い人が多いところでは、行動管理が向きます。
また、商材にもよります。例えば、複雑なITソリューションのように、チームで売り込む必要がある場合には、行動管理が適しているでしょう。
それにたいして、クリエーティブな売り方が必要な場合や、様々な営業アプローチが可能な場合は、或いはコンサルテーティブなセリングが向く場合は、やり方は営業担当者に任せる、成果主義が向くでしょう。
また、成果主義の場合、突然、メガディールが締結できて、多くの給料を払う必要が出る場合もあります。そのため、会社の財務状況も考慮しなければなりません。

このように、事業の特性により、一概に答えられないことを、冒頭の専務さんに説明しました。みかけよりも深い問題であることを理解してもらいました。

更に、話が複雑になりますが、管理の方針と管理者の実際の管理の仕方の整合性にも注意を払わなければならないのです。例えば、成果管理主義にもかかわらず、過剰に営業スタッフに干渉する管理者もよく見受けられます。


2014年10月7日:営業とマーケティングの仲

私の見聞きしてきた限りでは、営業部門とマーケティング部門の仲が良い企業は少ないように思います。

互いに協調しなければ、会社の総合力を最大限に発揮できないので、困ったことではあります。

元々、会社が小さい時は、経営者や営業部門、広告代理店などがWebマーケティングやイベントへの参加、販促などを考え、マーケティング部門は置かない企業が多いですね。


事業が拡大してくると、マーケティング専任者が置かれ、営業活動を支援する役割を担います。
更に拡大すると、マーケティング部長の下にスタッフがつき、4P(Product、Price、Place、Promotion)だけでなく、セグメンテーションやターゲティング、ブランディングなどの機能も提供するようになります。こうなると、マーケティングの教科書にあるように、営業機能はマーケティングの一部として位置づけようとするようになります。

 

更に、マーケティング部門は戦略部門や製品開発部門、財務部門などとの関係を深めて、会社の中
でのパワーが増していき、マーケティング主導型の会社に変えようとします。
このように、マーケティング部門の機能が拡張されると、営業部門との軋轢が目立つようになってきます。


営業部門からは、マーケッティング部門が行う商品の価格設定や、テレビや雑誌への広告の出し方、出費の額は、現場感覚からするとズレてる、あるいは、ムダと見えます。しまいには、「マーケティング部門は長期戦略だけ作ってればいいんだよ」と言い出します。
マーケティング部門からすると、例えば、「営業部門は売り易い商品ばかり売って、これから育てたい戦略的な商品を売る力がない」、「営業力がないから、売るために値引きばかりして、事業の収益性を減らしている」というように見えます。

このように、互いに非難の応酬が始まります。私は、どちらの部門の経験があり、互いの言い分がよく分かります。

どうすれば、両部門がもっと協業できるようになるのでしょうか。


劇的な即効薬は難しいでしょう。
計画立案を一緒に行う、研修を共同でするといった、地道な施策を行っていくことが必要でしょう。
私の経験で特に有効と思ったのは、重要顧客に関するアカウント・プラン作りには、マーケティング・チームも深く関わり、営業部門と協同でその実施を行うことです。アカウント・プラン作成には、戦略的な考え方や、クリティカルシンキング、ロジカルシンキングなどマーケッターが得意な能力と、顧客との親密な関係を作り出す営業が得意な能力の両方が求められ、現場に即して、互いの得意分野や困りごとに関する理解が深まるからです。


2014年9月10日:MBAでは、営業について教えているか

私もMBAの資格を持っていますが、営業については殆ど教えられませんでした。日本のMBAスクールで営業を本格的に教えているところは殆どないように思います。


アメリカのMBAでも、それ程重視されてこなかったようです。
殆どのMBAスクールでは営業を教えていないか、マーケティングの一分野として、ほんのさわりだけを教えているところが大勢を占めているそうです。


実際、営業機能はどんな会社でも必要なのに不思議です。

この原因は、どうやら、営業というのは口達者で、製品を売るための根性と製品知識を持っている人がするものだという、一昔前のイメージが原因だったようです。


その結果、製品知識は、企業毎に違うので教えられない。口達者になるための方法や根性を持つ方法を教えるのは、経営大学院のレベルにはそぐわないと思わて、営業についてはフォーカスされてこなかったようです。


ただ、アメリカでは、さすがに昔の営業のイメージではだめだということで、MBAで営業を本格的に教えるところが増えてきているそうです。


情報化の進展で、ユーザーは自分の課題を解決できるソリューションや、それを実現する商品を知り、簡単に注文できるようになり、ユーザーのパワーが飛躍的に強くなりました。


そのため、営業というのは、顧客が抱えている顕在的、潜在的課題を発見し、その解決を支援することに活動の重点がシフトしてきています。
このためには、クリティカルシンキングやロジカルシンキング、業務分析といった能力が必要になります。また、営業ツールも進化してきています。販売のプロセス管理や、販売予測法、交渉ノウハウ等。


営業もプロフェッショナルな専門職として認められるようになったのですね。
マーケティングに比べると、営業領域に強い大学の教員の数や論文数などは、まだまだですが、これから拡充され、今後、より多くの営業のプロフェッショナルがMBAでも育てられていくものと期待しています。


2014年8月8日:社員のモチベーションを上げる、とっておきの方法

「和風総本家」という番組をご存知でしょうか?テレビ東京系列ほかで放送されているクイズバラエティ番組です。

「日本っていいな」というキャッチフレーズで、世界の意外な所で使われている日本製品を発見して、海外のエンドユーザーの声を、それを作った日本の職人さんに届けるという番組です。

 

毎回、日本人でも知らないような製品が思わぬところで使われていることに驚くと共に、職人さんがエンドユーザーの感謝の言葉や高い評価を聞いて感動し、涙する内容で、大変好きな番組です。


ほぼ毎回、職人さん共通の感想があります。それは「自分の作った製品が実際に使われているところを始めて見た。これだけ感謝してもらっているということにびっくりし、これからも、もっと良い製品を作るよう努力していきたい。」という言葉です。

管理者や経営者がいくら社員のモチベーションを上げようとしても、なかなか簡単には社員はやる気になりません。こうした時に有効なのは、社員とエンドユーザーを繋ぐことです。

普段、同じ仕事の繰り返し、あるいは、理不尽な要求への対応でうんざり、などと思っている社員も、エンドユーザーの生の声を聞くことで、社員は自分の仕事の意味や価値を見出すことができます。感謝と褒め言葉を聞ければ、社員は、更に頑張ろうと思います。


ですから、経営者や管理者は、エンドユーザーを見つけ、実体験に基づくストーリーを語ってもらう、そしてそれをできるだけ多く集め、社員に知らしめる必要があります。

時には、エンドユーザーを招いて直接、社員に話してもらったり、逆に社員がエンドユーザーのところにいって体験したりするのもよいでしょう。


社員は、リーダーの言葉にはどうしても懐疑的になります。いままで以上に悪い条件で働かせようとしているのではないかなどと、動機や本心を疑ってしまいます。
それに対して、エンドユーザーの言葉には説得力があり、単なる美辞麗句ではありません。
リーダーは、自分が社員やスタッフの働く意欲を鼓舞せねばと、責任感を全部、ご自分の肩にしょってる人が多いですが、顧客のエンドユーザーにそれをやってもらうという選択肢もあることに気づけば、少しは気が楽になるのではないでしょうか。

2014年7月5日:歩合給はこれからも必要?

営業マンの給与というと、有名なのは歩合制ですね。即ち、出来高や成績に応じて給料が決まるわけです。勿論、100%歩合制ではなく、例えば、基本給60%、歩合給40%というように、固定的部分を設けて、給与に安定性を持たせ、社員の生活に配慮しています。


この長年使われてきた歩合制という手法が、本当に営業にインセンティブを与えられるのか疑問に思う企業が増えてきています。


一般に、「~を達成したら~を与える」という条件付けされた報酬は、機械的なルーチンワークには有効といわれています。同じ部品を繰り返し工具で組み立てるようなラインでの作業のようなイメージです。


営業と言っても、高度成長期のように売り込まなくても注文がどんどん舞い込んできて、それをさばくのにてんてこ舞いという状態ならいざしらず、最近は、低成長の経済の上、競争も激しく、商材も高度化しているため、営業手法もどんどん洗練されてきています。アカウントプランを作成し、顧客攻略の戦略を作り、顧客の課題を発見し、さまざまな商材を組合わせてトータルなソリューションを提案するといった具合です。


このように、営業もプランナー的な企画力や創造性が求められるようになっています。更に、ソリューションが複雑化するにつれ、一人の力で売れるものではなく、チームで売るようになっています。また、法人営業の場合、案件の発掘からクローズまで、数か月かかるのはざらで、大型案件などは何年もかかります。


ある企業では、このような営業の仕方の変化に合わせて、歩合給を止めて、基本給90%、残り10%は会社の業績に連動させる給与設計に変更しました。その結果、営業マンのやる気は向上し、売上が伸びて、しかも人件費を含めたコストは横ばいになったそうです。


今後は、歩合制をとらない企業が増えていく気がします。


2014年6月6日:商品を売ってから作る?

最近、技術者派遣や運用サービスなどをしている企業が、事業を多角化するため、自社商品を開発したので、営業戦略と営業体制を作りたいというケースが増えています。

そういう場合、気を付けないといけないのは、自分のアイデアに惚れ込んでしまい、絶対に売れると信じていることです。
特にトップが技術系の場合、その傾向が強いことが多いですね。自分が開発をリードした商品の素晴らしさを、顧客が分かるのは自明のことだと思ってしまうようです。
そうして、きっと誰かは買ってくれる筈と楽観視してしまう。
でも実際のところ、販売当初、義務感やお付き合いで知り合いが買ってくれることはあっても、本当の意味で、最初の売上を獲得するのにものすごく苦労することが多々あります。

製品やサービスを作ってから、販売するという一見当たり前の順番ですが、この順番を逆にすべきでしょう。すなわち、アイデアが浮かんだら、見込み顧客のところにいって、その考えをテストしてみることが重要だと思います。特に、技術系のトップはきちんと製品化、サービス化しないと売込みようがないと思ってしまうようですが、そんなことはありません。


エリック・リースが提唱したリーンスタートアップの考え方と同じですね。最低限実用に足る製品(Minimum Viable Product)をできるだけ早く作って顧客に提供し、その反応を検証しながら、アイデアの改良を図る。
こうして、消費者のニーズをつかむために必要な最小限のプロセスを繰り返すことで、無駄なことに費やす時間や金を省くことができます。

中小企業の場合、特にこのアプローチは重要です。
なぜなら中小企業は大企業と比べて、一般に、信用がない、規模の経済や範囲の経済が働かない、失敗した時のダメージが大きいなどのハンディキャップがあるからです。
そのため、新商品の提供価値や価格、ターゲット顧客のスイッチングコストなどを事前にテストし、その結果を反映しながら商品化をする必要があると思います。


2014年5月3日:コンサル型営業のレベル

前回まで、コンサル型営業と従来型の営業の違いをみてきました。

コンサル型営業の大きな特徴は、顧客自身、中長期的にどこを目指せばよいか分からない、即ち課題(=現状を改善する狙いや目的)が分からない場合に、それを明確にする支援をするところにあります。

 

コンサル型営業の成熟度を、4段階に分けてみると、次のようになるかと思います。

皆様の会社はどの段階でしょうか?

 

レベル4: 熟達または最適化

自社や自部門の課題が何かについて、お客様が明確に分かっていない場合、課題を明確にするための標準的な手法やツールが存在する。また、それは継続的に改善されている。
課題は、業務レベルだけでなく、お客様の経営レベルの施策とも関連付けされている。
当社の営業活動は、お客様の経営戦略や事業目標実現に貢献している。そのため、当社の営業はお客様から仕事のパートナーのように見なされている。

 

レベル3: 取り掛中

自社や自部門の課題が何かについて、お客様が明確に分かっていない場合、課題を明確にするための標準的な手法やツールがある。

それを使って、お客様キーマンの課題の発見あるいは確認をするセッションをお客様と実施している。課題を明確にした後、課題実現のためのソリューション提案を行っている。

 

レベル2: 取り掛の前段階

自社や自部門の課題が何かについて、お客様が明確に分かっていない場合、課題を明確にするための標準的な手法やツールはない。営業個人の対応に任せている。
課題が明確になれば、課題実現のためのソリューション提案を行っている。

 

レベル1: 無し、又は必要性の認識のみ
「お客様は自社や自部門の課題に対する解決策が分かっている」というのが基本的想定で、それを実現するソリューション提案の依頼や商品・サービスの注文をしてくるのを待っている。


2014年4月26日:コンサル型営業とソリューション営業との対比(2)

前回、コンサル型営業とソリューション営業の違いについて述べました。
別の見方をすると、コンサル型営業はソリューション営業の上流過程を強化するアプローチと位置付けることもできます(下図参照)。

RFP(提案依頼書)が出る前の超上流から、顧客の中に入って、顧客の課題の発見や整理を支援するのが、コンサル型営業の特徴です。
課題が明確になった後は、ソリューション営業と同じアプローチになります。

コンサル営業で、超上流から顧客にコンタクトすることにより、顧客の真のニーズや改善が必要な問題をいち早く把握でき、競合他社よりも一歩先を行くことができます。
また、誘導はいけませんが、自社のソリューションの強みや特徴を訴求できるように、課題の表現をうまくまとめるという高等テクニックを発揮する機会も得られます。

次回は、あなたの会社のコンサル型営業のレベルをチェックしてみる方法について述べたいと思います。


2014年4月15日:コンサル型営業とソリューション営業との対比(1)

前回、コンサル型営業のアプローチを説明しました。

簡単に言ってしまえば、コンサル型セールスの主眼は、顧客の戦略レベルの課題の発見・明確化に集中化することで、大きな商談に持ち込むことです。
ソリューション型セールスとの対比をまとめと下の表のようになります。

このような特徴のため、コンタクト先は、担当者レベルではなく、部長以上のことが多くなります。
うまくいくと、あれこれ課題について相談されるようになり、顧客のパートナーとなることができます。


2014年04月08日:コンサル型営業の切り口

前回は、従来型の営業とコンサル型営業の対比について述べましたが、今回は、コンサル型営業の一般的な切り口を説明したいと思います。

コンサル型営業の流れは、大きく次のようになります。

  1. 先ず、営業をかけたいお客様を想定します。
  2. そのお客様の業界に対する洞察と、他の顧客での経験に基づき、そのお客様が抱えている潜在的なリスクや失っている可能がある機会は何かを考えてみます。
    難しいと思うかもしれませんが、社内の関係者が智恵を寄せ集めれば、それ程でもありません。
    お客様の様々な要望に応える内に、自分たちでぼんやりと思っている以上の知識と経験を蓄積しています。また、セールスやサポート業務を通じて、同じ業界の様々な顧客と接する経験を通して、お客様とは違う視点で問題をみれるようになっています。
  3. この検討の結果をまとめて、お客様と合って、対話を創造します。
    o 状況を新しい視点で見るような仮説
    o 顧客はそれに関して現在、どのように思っているか?
    o 顧客は、それを本来、どのようにみるべきか?
  4. このような対話を経て、お客様が検討に値する仮説であると同意してくれれば、議論を更に詳細化して、課題に対して取り得る方法を提示します。
    自社の強みとソリューションに結びつくものを提示することで、営業につなげます。


例えば、リスク管理に関して、次のような仮説に基づくアプローチが考えられます。

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  • 仮説
    リスク管理は全体で、一か所に脆弱なとことがあると全体にリスクが脅かされる。
    しかしながら、担当顧客は、各組織や業務毎にリスク管理を任せているので問題はないと考えている。更に、リスク管理の強化は後ろ向きの投資なので、優先度は低くてよいとも考えている。
  • 検討することの顧客にとっての潜在的メリット
    対策をしなかった場合の損害の最小化と企業イメージの向上
  • コンサル型営業アプローチ
    ベストプラクティスに裏付けられたリスク管理フレームワークに基づいたリスク管理診断チェックリストを使い、全社規模で顧客のリスク管理の成熟度をチェックする。
  • 営業活動への連携
    リスク管理の成熟度の低い部分を、あるべき成熟度に強化するためのソリューションを提案する。

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ただ、上記の方法は、個人のスキルや知識のレベルにより、その巧拙に大きな違いが出ます。弊社では、数多くのコンサル提案の経験に基づいた手法を開発しており、それを用いて簡単で効果的に行うことができます。


2014年04月02日:従来の営業アプローチとコンサル型営業の比較

さて、前回までの記事では、下のリストのような世の中や顧客の変化の進展の結果、単なる商品売りやソリューション営業には限界が目立つようになってきたことを述べました。
1. 商品は世の中にあふれかえっている(コモディティー化)
  ⇒ 単なる商品売りでは売れない
2. 顧客の問題は複雑化している
  ⇒ 単なる商品売りでは売れない
3. 顧客の商品に関する情報収集力が飛躍的にアップしている
  ⇒ 単なる商品売りでは売れない
4. 競争相手の売り方もレベルアップしている
  ⇒ ソリューション営業での他社との差別化が困難に
5. 顧客自身、課題を明確に分かっていないことが少なくない

 

まとめると下表のようになります。

 

次回は、コンサル型営業では、どういう切り口でアプローチするのかについて述べます。


2014年03月26日:コンサル型営業の目的とは

前回、お客様も自身の課題をきちんと意識していないことが少ないないと述べました。
そのため、お客様の課題を知って、その解決策を提案するというソリューション営業にはおのずと限界があります。


そこで期待されるのが、コンサル型営業のアプローチです。

顧客に、あなたとの1時間のために、お金を払ってでも、話したいと思わせるのはどちらでしょう?当然、右側の方ですね。

コンサル型営業の目的は、以下のことを通じて、右側のような付加価値をお客様に提供しつつ、自社商品やサービスの販売を達成することです

  • 既に分かっている課題だけに対応するだけではなく、顧客が気づいていない課題を見出すことも支援する
  • 顧客が今までとは違う切り口で考えることで、顧客の経営や事業を改善・成長させる方法を発見することを支援する
  • 戦術よりも戦略レベルの課題識別に注力し、経営層やキーマンの悩み解決を支援する


そのための基本原則は

  • 顧客をいつもとは異なる会話に持ち込む
  • 顧客のビジネスにフォーカスし、ビジネス成長の実現を支援する
  • 顧客に洞察に基づく仮説やアイディアをできる限り提供する

次回は、より具体的に、コンサル型営業を説明したいと思います。

 


2014年03月20日:ソリューション営業の効果と限界(2)

前回、ソリューション営業には効果があるものの、その前提となっている考え方による限界があると言いました。

ご存知のように、ソリューション営業の特徴は、顧客の問題に集中し、それに対する解決提案の価値を顧客に認めてもらうことが重要で、そこから商品やサービスを買ってもらうことに繋げていくということですね。

ここでの前提はなんでしょうか?顧客の問題が分かっていることですね。だから、その問題に対する解決策、ソリューションを提案するということになります。

でも、私が実際お客様のところに行ってきると、本当にそうかなと感じることが多かったのです。
ほんの数例を挙げてみましょう:

  • 部門毎や事業ごとには効率的には行われているが、組織の間の壁が高く、全社で最適化することに考えが及ばない、初めから無理と思っている。
  • 競合他社の内情をよく知らないので、自社の業務の質や効率が競合相手と比べ、どこがどれだけ遅れているか知らない。
  • リスク管理は、一か所に脆弱なとことがあると、全体のリスクが脅かされるということに気づいていない。
  • 新しい法令や規制の遵守は必要だと認識していても、それが自社に及ぼす影響について理解していない。

みなさんも、こういう経験をお持ちだと思います。即ち、お客様自身、問題が何か分かっていないことが少なくないということです。そしてそれは、潜在的に、会社全体の大きな問題や戦略上の重要問題であることが多いということです。

整理しましょう。
あるべき姿と現状の姿が分かっている場合、その間のギャップを問題と言いますね。
では、あるべき姿が分かっていなけければ・・・そう、問題が何か分かりませんね。
ソリューション提案は、問題を解決して、現状を改善してあるべき姿を実現するわけですから、
問題そのものがよく分からない場合には、有効でないということになります。

改善する目的や狙い、即ち、課題そのものがよく分からないお客様には、先ず、何が課題か気づいていただき、それに取り組む必要性を納得していただく必要があります。

それをするのが、コンサル型営業です。
次回はコンサル型営業の特徴について書きたいと思います。


2014年03月14日:ソリューション営業の効果と限界(1)

前回、チーム営業の管理面の強化ばかりではなく、やはり、顧客への提案力の強化は必要というお話をしました。

ソリューション営業は、下のような現状認識と反省から取り組まれている、顧客への提案力を強化するための施策です。

  • 「もう、商品は世の中にあふれかえっていて、うちのもコモディティー化しちゃいましたね。」
  • 「最近はインターネットなどで、殆どどんな情報も取れるので、お客様の商品に関する情報収集力が飛躍的にアップしていて、なまじのセールスマンより商品に詳しい人もいます。」
  • 「いくら商品の良さをお客様に語っても、お客様の課題にマッチしていなければ、お客様は聞いてくれませんよね。」
  • 「ましてや、何か要るモノはありませんかと御用聞きをしているだけでは、営業の存在価値はなくなってきます。」


このような背景により、いわゆるプロダクト・アウト的な売り方で、商品の良さをもっぱら訴求するやり方から、顧客の問題を解決する志向を前面に出したソリューション営業(問題解決型営業とも呼ばれます)の仕方に営業変革をしようとする企業が多くなっています。

実際、ソリューション営業は、どんな企業も取り組むべきことだと思います。
ただ、競争相手の売り方も皆、ソリューション指向になってきていて、他社との差別化が難しくなってきていることが問題になってきています。


「貴社のコスト削減にあたっては、この要因への対処が重要で、そのためには弊社のこのソリューションで解決できます」といった提案には、顧客側も耳にたこができる状態になっています。

このように、ソリューション営業の価値を顧客に認めてもらうのが、だんだん難しくなってきています。更にソリューション営業には、その前提となっている考え方に起因する限界があります。

次回は、その限界について述べたいと思います。


2014年03月08日:営業の三種の神器の導入効果と限界

ある会社での会話・・・
●マネージャー
「売上が下がっているのに、営業員は一生懸命売っていないようだ。」
「売れない理由ばかり言って、言い訳が多い。」
「自分が一線でやってた時は、どぶ板営業をやったもんだ。今は、根性が足りない。」(最近の若い人は、どぶ板って言っても分からないでしょうが)

●営業担当者
「今は、根性で売れる時代ではないんですよ。」
「考えられることはやってますよ。何かいいやり方があれば、具体的に教えてくれませんか。」
「上の人が売ってた頃より、顧客の商品知識は圧倒的に増え、競争も激しいんですよ。」

このブログをお読みの皆様の会社ではいかがでしょうか?

どうしたら「営業力」を上げたらよいのか、途方にくれている企業が非常に多く、中小企業庁からの報告書でも、企業の課題として、「営業力・販売力の強化」がダントツで№1課題として挙げられています。実に、約4分の3の企業がこれを課題と言っています。

では、営業力強化の対策として、企業ではどんな取組がされているでしょうか。
私の感覚では、営業日報や営業の三種の神器(営業プロセス管理シート、顧客管理シート、売上見込み管理シート)の導入によるチーム営業力の強化が多いと思います。

以下の問題を持つ営業チームには、このような管理ツールの導入は効果的でしょう。
-個々人が、個人商店化し、「結果さえ出せばよいんでしょ」と各人が勝手に活動している
-成績が良い人はいつも決まっており、他の人は良くならない、或いは、若い人が育たない
-営業管理者が現場で何が起こっているか良く把握できずに、適切な指示をタイムリーにできない

 

このように、営業日報や三種の神器の導入により、営業チームの活動を標準化し、見える化することは、営業チームのムリ・ムダ・ムラを排除するにはいいでしょう。
ただ、このような仕組みを入れても、「やっぱり売上は増えないな~」と嘆いている会社も少なくないのも現実です。


なぜなら、営業活動の管理を強化することと、営業の売る力を高めることは、本質的に別だからです。野球チームにチームで互いに助け合って戦うことを教えるのと、バッターの打撃力や投手の奪三振力を強化するのは、別の話であるのと同じです。

それでは、営業の売る力に直接焦点化したアプローチで、今、ポピュラーなものは何でしょうか?
一般的に行われているのは、ソリューション営業への取組かと思います。
次回は、ソリューション営業の効用とその限界についてお話ししたいと思います。


2014年03月01日:初めまして。コンサル型営業手法に関するブログを始めます。

始めまして。株式会社JCNBの代表をしております、北澤と申します。

 

「コンサル型営業」と言っても、この言葉を聞かれたことがないかもしれません。
聞かれていたとしても、人によっては、ソリューション営業と同じ、あるいは、コンサルタントが行う営業のことと思われるかもしれません。

未だ一般に認められた定義はありませんから、私の考えるコンサル型営業の定義は、このブログでおいおい説明するにして、読んでいただいている方に何をご提供したいと思っているかお話したいと思います。

私は、前に勤めていた会社で、エンジニアとして社会人としてのキャリアをスタートしましたが、約10年後、営業の仕事に移ることになりました。

最初の1,2年は、右も左も分からないながらも、強力な売れ筋商品があったため、実態としては、それ程提案しなくとも注文を貰えていました。しかし、すぐに商品がコモディティー化し、競合他社との価格競争が中心になってからは、本当に苦しい日々が続きました。

仲間の営業マンの中には、お客様に何を言われてもペコペコして取り入る人や、顧客を徹底的に接待してリレーションを作り、「今期は私を男にしてください。そうでないとクビになってしまいます」と泣きついてノルマを達成した人、あるいは、何度断られても夜討ち朝駆けができる心臓と体力の持ち主もいました。しかし、私は、元々、内向的な性格で、社交性もそれ程無く、どれも私には逆立ちしてもできない芸当でした。

そんな私が、試行錯誤の果てに、自分の営業スタイルを築き上げ、営業目標を毎期、当然のように達成できるようになったのが、このブログで取り上げるコンサル型営業手法です。

 

この手法で大型契約を獲得し、社長賞を受賞しただけでなく、この手法の有効性が社内でも評価され、新規案件の発掘手法のリーダーとして社内で認められるようになり、社内講師も数えきれない程、務めました。


コンサル型営業を行ったお客様には、パートナーとして相談されるようになり、更には、提言の御礼として御馳走までしていただたことも何度もあります。商品を買っていただくだけでなく、こんなことまでしていただき、感激したことは言うまでもありません。

会社を辞め、独立して、更にこのコンサル型営業手法を強化し、様々な業界や業種でも使えるように汎用化も行ってきました。このブログでは、この手法の概要をご紹介し、読者の方々のお役に立てるような情報を提供したいと思っています。

ちょっと、下のリストに該当するものがないか、チェックしてみていただけますか。
□ 大型商談に絡めない
□ キーマンをうまく押さえられない。担当者レベルかせいぜい部課長レベルまでへの提案が多い
□ 「ウチも不況で買う予算がないよ」と言われて、すごすご帰ってくることが多い
□ 顧客の購買管理が厳しくなり、リレーションが効かない
□ もっと斬新な提案はないのと顧客から言われる
□ 単発の売込みに終わらず、継続的に案件を掘り起こしたい
□ 顧客から課題について相談相手になって欲しいと言われたことが殆どなく、御用聞きのように扱われている
□ 顧客から課題実現のためのソリューション提案を要望されるが、課題そのものがはっきりしないと感じることが多い
□ 日常業務的な問題に関する提案が多く、顧客の戦略に関わるような提案ができない
□ コンサル型営業とソリューション営業の違いが分からない

上のリストのどれかに一つにでも該当するものがあれば、当ブログが参考になると思います。

次回以降も是非、お読みください。