誤解その2:カウンセリングはクライエントを守り、安心させるもの

日常会話で、相手から上司と喧嘩したいきさつを聞くと、どうでしょう?聞いた方は、つい、「それはあなたの上司が間違っていますよ。あなたは怒って当然ですよ。」と相手の肩をもったりしませんか?

 

あるいは、リストラの対象となった人に「最近では、当たり前に行われていることで、あなただけではないし、あなたのせいではないですよ。」などと言ってなぐさめたりするのは、よくあることですね。

しかし、カウンセリングは日常会話ではありません。このようなコメントをクライエントにしているばかりでは、クライエントは何のプレッシャーも受けず、自己探索のきっかけを失ってしまいます。

日本キャリア開発協会(JCDA)は、「キャリアカウンセラーにとって最も大切なことは、相談者の傍らに寄り添い、経験から学ぶこと、自己概念の成長を支援する」と言っています。

従って、上述のようなコメントばかりをクライエントにしていると、キャリアカウンセラーとしての役割を果たしているとは言えませんね。

クライエントが悩んでいるときに、常に安心させたり、慰めるのが自身の責務であるという思い込みは、間違いであり、むしろ、クライエントが自己と対峙する厳しい時間が、クライエントの成長にとって不可欠であるということを肝に銘じる必要があると思います。