「やりたいこと、出来ることが重なることを仕事にするといいですよ。」
ちょっと聞くともっともなアドバイスですし、かくいう私も言ったことがあります。
しかし、職業経験の無い学生に対してはどうでしょうか。
社会に出て長く働き、様々な経験をすると、こう思います。
職業経験がない人が、いくら企業や職業の情報を集めても、
現実は想像と大きく違う・・・
例えば、私は企業の営業部門で長く働いた経験がありますが、
別の部門から異動させられ、始めは営業の仕事が嫌でした。
なぜなら営業というのはモノを売りつける仕事と誤解していたからです。
けれでも、顧客の課題を解決するという価値のある仕事であり、
非常の奥の深い仕事ということが分かり、真に打ち込めるようになりました。
ある雑誌に「早死にする職業ベスト10」という記事があり、
意外にも若手官僚がランクインしていました。
日本の行く末を左右する官僚という仕事は、優秀な学生のあこがれの仕事の
一つだと思いますが、年功序列が厳しく、若手は給料も低い上、激務です。
実際、入省してから数年で自殺する人も少なくないそうです。
「就職前にやりたい仕事を見つけなさい」と学生にアドバイスするのも一理ありますが、
就職して、これは私の思っていた仕事と違うと簡単に辞めて、
自分に合うと思う仕事探しの旅を繰り返すことになりかねません。
ブラック企業は選んではいけませんが、
やりたい仕事なんて簡単に見つからなくても当たり前だと思いますし、
どんな職業も、楽な仕事はないとも思います。
私は、「どんな仕事でも、昨日よりも今日はちょっとでもうまくできるようにする、
あるいは、顧客に喜んでもらえることをするといった工夫を行い続けると、
やりがいを感じられるようになるよ。だから、簡単に辞めようと思わないこと。」
というアドバイスも大切だと思います。