感情失禁

先日、精神科医が老いについて一般向けに書いた本を図書館から借りました。
なにげなく読み始めたのですが、あっ、これはカウンセラーも気をつけねばと思ったことがありました。

CDAの資格を取られる方の殆どの方が40歳以上と思います。
「夢かなジム」を受講される方で50歳台、60歳台の方はざらです。

その本によると、老化は早い人で40歳台から始まるそうです。
そして、老化というと記憶力の衰えが最初にくると思われですが、実は記憶力よりも、体力よりも、もっとも先に衰えてくるのが、感情なんだそうです。

以下のような傾向がありませんか?
もし、あてはまるようであれば、ちゃんと自己一致を図って、カウンセリングに向きあう必要がありそうです。

●キレ易く、いったん怒り出すとなかなかおさまらなくなってくる
精神医学では、感情が漏れ出てきて、それを押さえられないのを「感情失禁」と呼ぶそうです。
即ち、感情が失禁と同じような状態になるということです。嫌な名前ですねぇ・・・

年を取ったらキレ易く怒りっぽくなるという事例は世間に広くみられる現象で、頑固なおじさん、おばさんが多いのは皆様もご存知のとおり。
これは感情のコントロールできにくくなっている証拠で、老化現象が原因だそうです。

●年をとって、自分が丸くなり、穏やかになったなどと思っている
実は考え無精になって、あれこれ考えるのが面倒になっているだけの場合も。
あるいは、脳全体の機能が衰え、嫌なことは忘れてしまっているので、そもそも、イライラしたり、怒ったりする必要がなくなっただけかも!

●白黒をつけたくなる。
脳力が衰えてくると、グレーゾーンを認識することが苦手になってきて、いわゆる二分割思考に陥ってしまうのだそうです。

●涙もろくなり、感情のコントロールが効かない。
脳力が落ちてくると、他人の話を聴いている内に、こちらも感極まって泣き出したり、涙を抑えきれなくなることが多くなるそうです。
他人の悲しさ、つらさについ自分を抑えきれなくなって、涙もろくなったりします。
これも感情失禁の状態で、感情の切り替えスイッチが鈍くなっているため、その状態がなかなかおさまらなくなるのです。
この場合、他人や相手の立場になって考えるのではなく、あたかも自分のこととして思ってしまいます。
このように、自他の区別がつかなくなってしまうのが老化の兆候だそうです。

●思考が短絡的で、決めつけが多くなる。
思い込み。クライアントの感情やできごとを丁寧に聴けなくなる。

老化は誰でも避けられません。
それに目をそむけず、自覚すべきものは自覚して、カウンセリングをしていく必要があるということですね。