少し前ですが、大学生に対する就職相談員を務めたことがありました。
そのとき、中国人留学生が相談に来ました。
彼がいうには、グローバル人材を求めているという企業があったので応募したが、
実際、採用担当者と面談してみると、中国人に対して偏見を持っているようで、
大変嫌な思いをしたそうです。
相談というより、ずっと愚痴を聴く時間となりました。
文科省によると、日本の大学を卒業した外国人留学生の約6割が
日本の企業に就職を希望するそうです。
けれども、実際、日本企業に就職できるのは3割だそうで、
残りの3割は失意を抱いて帰国するのです。
日本企業の多くは、グローバル人材の採用・活用において
まだ課題が多いといわれています。
例えば、中国やインドの優秀な学生は引く手あまたで、
日本企業も含めて、世界の名だたる企業が現地に行って、
取り合いをしているということはご存知の方も多いと思います。
日本企業は、学生からの人気の点では、欧米、中国、韓国企業の
後塵を拝していると言われています。
各国の若者の就業意識は、日本の若者とはかなり違うのに、
日本企業が、海外の若者のニーズを満たすように
自社の魅力をうまくカスタマイズして伝えきれていないようです。
つまり採用マーケティングに問題があるのです。
一般に中国人やインド人学生の就業意識では、優秀な人ほど、
成長の機会や将来のキャリア機会を重視するといわれています。
それに対して、最近の日本人学生の場合、ワークライフバランスや
将来の安定性を重んじるといわれています。
多くの日本企業は「企業や組織としての強みや安定性が従業員にも還元される」
という想定のもと、自社の歴史や商品の優秀さ、価値観などを求職者に発信し、
採用されたあかつきには良きチームプレイヤーとなることを求めます。
これは日本人学生に対しては良いのかもしれませんが、
個人としての成長の機会を重視し、上昇志向を持った優秀な外国人には、
響くメッセージではなく、魅力的な就業先とはみなされません。
自律的な成長志向が強いグローバル人財に対しては、
企業が社員に提供できる価値 = EVP (Employee Value Proposition)を
候補者の嗜好に合わせて、明確に訴求することが大切になってきます。
ターゲットオーディエンスの特性に合わせて、適切なメッセージを
届けるというしごく当たり前のことです。
次の機会に、EVPに関することを書きたいと思います。