洋画と「わびさび」

最近、テレビで日本はいかに素晴らしい国なのかを外国人に見せて、「自分の国にはこんなのないよ、日本は素晴らしいですね!」と外人に言わせる番組が多いですね。

ところが、先日見た番組では、日本に来た外人の方が「もののあわれ」や「わびさび」という言葉の意味をちゃんと説明できて、インタビューされた普通の日本人達ができないという場面を見せていました。

 

かくいう私もちゃんと説明できない一人で、辞書をみてみると、「もののあわれ」はしみじみとした情趣や哀感だそうです。

 

また、「わびさび」の「さび」は、見た目の美しさについての言葉。年月が経つにつれて、ものはさびれたり、汚れたり、欠けたりする。普通、それは劣化と捉えられるが、逆に、その変化が織りなす、多様で独特な美しさを「さび」という。一方「わび」は、さびれや汚れを受け入れ、楽しもうとするポジティブな心を表す言葉で、「さび」の美しさを見出す心が「わび」とのこと。

 

最近「ニューシネマパラダイス」という映画を見ました。

この名作はもう何度も見ていて、見るたびに感動をくれるのですが、その感情が「もののあわれ」や「わびさび」に通じるものだと、はたと気づきました。

 

例えば、主人公が生まれ故郷に戻って、取り壊すことになった映画館に足を踏み入れ、昔に想いをはせる場面。

ぼろぼろになった映画館ですが、なんとも言えないしみじみとした情趣や哀感が漂っていました。

 

あるいは、少年時代に可愛がってくれた映画技師の形見である古ぼけたフィルムを映写機にセットし、その映像を主人公が泣き笑いをしながら見るシーン。

数ある映画の中でも最高のラストシーンと言われている場面です。

映像はつぎはぎで画質も悪いのですが、それがかえって独特な美しさをかもし出しています。

悲しいだけでもなく、嬉しいだけでもなく・・・言葉では表せないできない、じ~んという気持ちになります。

 

「もののあわれ」や「わびさび」ってなんとなく日本独自のものかと思ってきたけど、これって同じ感情じゃないのかと思いました。

その感情を言い表す語彙があるのは日本語の素晴らしさだとは思いますが、抱く感情は、言葉や肌の色が違っても変わりはないのかな。